素数の音楽

現代の数学者たちを描いた水滸伝、そんな冒険活劇...ではもちろんないんだけど、そのくらいのインパクトでした。数学者ってこんなにいろいろ考えて悩んで野心的で楽しんでて、そして魅力的なんだなーって思いました。

素数とは、子供の頃に教わったあの素数です。1とその数自身以外では割り切れない数の集合、2、3、5、7、11、13、17、19....

この馴染み深い数字たちを巡って数学者たちがギリシャ時代に始まって、2000年の歴史のなかでいかに苦労してきたか、楽しんできたか、そこから物語は始まります。僕でも知ってるオイラーガウスなどの有名な数学者によって、素数への興味は高まります。そして150年前に突然登場した天才リーマンによって、ある仮説、予想が提示されてました。その予想というのが「リーマン予想」というもの。近代数学はその予想を軸に展開されてきたんだ、というお話です。はしょり過ぎですがそのくらいしか細かいところは理解できていません(笑)。

でも、いろんな数学者、物理学者が登場し、相対性理論量子力学などの聞いたことがある理論、さらにはRSAなどの現実世界の暗号技術、クレイのスーパーコンピュータ、そして僕にとってはなじみ深いけど、あまり関係なさそうなカリフォルニアの電気屋さん、フライズ・エレクトロニクスなどが登場したり...興味が尽きないです。話題豊富な冒険活劇、そういう本です。

特に、科学者には「鳥」と「カエル」がいるんだ、というあたりがとても納得。空から物事を俯瞰できる「鳥」と、地べたを這いずり回り証拠を見つける「カエル」、どちらがいい悪い、ではなく、二種類いる、というところが大事。自分はカエルだ、と確信した瞬間でした。

この2週間、会社に行く前の30分をドトールで過ごしながらじっくり読みました。幸せな時間を過ごさせてもらいました。ありがとう。

価格
2520円
ISBN
978-4105900496商品を見る
メーカー
新潮社
人名
マーカス・デュ・ソートイ
原題
The Music of the Primes