数学入門

こんな名著があったのを、理系生活30数年、全然知りませんでした。数学って嫌いな人も多いと思うんだけど、これは読んでみた方がいいです。初版が1957年、生まれる前だぞー。数学の考え方で何が大事なのか?数学を勉強してきて、何を身につけなくちゃいけなかったのか?ということを教えてくれます。

理系の書物なのに話題は豊富。まさに教養ある文章のお手本のような感じです。素晴らしいぞ。複素数の意味がわかったぞ。行列の存在意義がわかったぞー。

追記:例えば帰納法という証明手段がある。わかったような、わからないようないやらしさの残る証明方法だ。これは教科書では教えられて終わりだったのだけど、この本だと、そのいやらしさもきたならしさも、当たり前のこととして話題に取り上げている。なんかずるい証明手段と感じること、過去にもそういうふうに感じた人たちがいたことなどを、ちゃんと説明してくれる。それでも大事なことなんだと教えてくれる。これはうれしい。オレだけが引っかかっているのではないことがわかるだけでも有意義な本だ、と思う。

追記2:微分とか積分とかを、まず公理とか公式から始めるのでなく、こういう場合にはこういうことが必要だ、そう考えていくと自然とこういう数学的な知識が必要になっていくのだ、という順序で説明してくれる。いままでなんの役に立つのかがわからなかったこと、これは数学をそれ以上学ぶために必要なことなのか、それとも世間一般で役に立つことがらなのか。それがわかる。これも嬉しい。

メーカー
岩波書店
年(代)
1957年
価格
約1000円
人名
遠山 啓
ISBN
4004160049商品を見る